返済のための借金が増える…絶望が止まらない底辺ライフの現実

仕事

借金まみれの電話地獄

朝から携帯電話が鳴りやまず、留守電には「至急ご連絡ください」という声が何件も残されている。最初は「少し遅れても大丈夫だろう」と軽く考えていた返済が、いつの間にか遅延に次ぐ遅延になり、取り立ての電話が途切れることのない日常になってしまいました。そんな暮らしが始まったのは、ちょうど2年前――。派遣で働いていた工場が業績不振で人員整理を始め、僕はあっという間にクビを切られたのがきっかけでした。

貯金はほとんどなく、次の仕事の目処も立たないまま、日々の生活費や家賃を払うために消費者金融に手を出したのが運の尽き。少額の借入れならすぐに返せると思い込んでいましたが、仕事が見つからないまま期限がきてしまい、別のカードローンで補填する羽目に。最初は10万円、20万円程度だった借金が、気づけば100万円を超えていたのです。

増える借金、増えない収入

借金の総額が増えても、収入はまったく増えません。せいぜい派遣先を転々としながら、最低賃金ギリギリで週に数日働く程度。そのうちに家賃すら滞納し始めて、アパートの管理会社からも督促状が届くようになりました。消費者金融からの返済請求と同時に、部屋を追い出される恐怖がのしかかってくる。

いわゆる「一発逆転」を狙って、株や仮想通貨にも少し手を出したことがあります。けれど投資の知識なんて皆無だった僕は、タイミングを誤って資金を溶かし、結局さらに借金を増やす結果になってしまいました。まるで無底の沼にはまるかのように、状況は悪化する一方です。

返済追われる日々と体力の限界

なんとか返済するために、深夜のコンビニバイトや早朝の新聞配達、日中は日雇い派遣など、手当たり次第に掛け持ちしました。最初のうちは「これだけ頑張ればいずれ借金を返しきれる」という希望的観測もありましたが、現実はそう甘くありませんでした。

実際に手にする収入のほとんどが返済と利息に消えてしまい、自分の手元にはわずかな生活費しか残らない。しかも、心身を削るような労働を続けるうちに、疲労が抜けなくなり、頻繁に体調を崩すようになっていきました。せっかく働いた日の稼ぎより、利息の方が大きい月も珍しくない。だんだんと「何のために生きているんだろう」という虚無感に苛まれはじめたんです。

住まいを失う不安と周囲の冷たい視線

家賃が払えなくなればアパートを追い出される。それを避けるために優先的に家賃だけは払ってきたものの、ある月の遅延をきっかけに退去勧告を受けました。もう後がない――。引越し資金など用意できるはずもなく、結局は安いゲストハウスに転がり込むしかありませんでした。狭い相部屋でプライバシーもなく、そこでまた「底辺生活」に足を踏み入れることになったのです。

こうなると、周囲の視線も厳しくなります。履歴書の住所欄にゲストハウスの住所を書くたびに、面接官が怪訝な顔をする。「この人、まともな生活をしていないのでは?」と疑われているのが一目で分かるのです。薄給のアルバイトをなんとか確保しても、次に借金の返済期日がくれば督促電話の嵐は再開。いつまでも平穏というものが訪れないまま、苛立ちと絶望だけが増幅していきます。

借金返済のための借金――連鎖する悪循環

状況を打開しようと、おまとめローンの広告を見ては申し込みをしてみますが、信用情報が傷ついているせいか審査に落ちることがほとんどです。少しでも返済を延滞すると、その情報が記録されて貸し出し審査のマイナス材料になる。結局、金利が高い闇金まがいの業者へ流れ込んでしまい、首を絞めるような利息を払い続ける羽目になるのです。

一方で、食事や交通費などは最低限必要なので、さらに消費者金融の枠を増やす。つまり「借金返済のためにまた借金を重ねる」形となり、合計額は加速度的に膨張。少しでも返済が滞れば厳しい取り立てが待っている――そうした恐怖に追われていると、もうまともな精神状態ではいられなくなります。

友人との疎遠と社会からの孤立

かつては仲の良かった友人と遊びに行ったり、情報交換をしたりする時間が息抜きになっていました。けれど借金まみれになってからは、休日らしい休日を過ごせず、バイトや派遣で少しでも働かなければならない日々。友人からの誘いも断り続けているうちに、いつしか連絡すら途絶えてしまいました。

何より、今の自分を知られるのが怖かった。借金だらけで身なりもボロボロ、住む場所だって不安定。そんな姿を見られたら、軽蔑されるに決まっている――。そう思って自己防衛に走った結果、孤立は深まるばかりです。SNSを開けば華やかな世界が広がっているのに、自分だけがそこから排除されているような感覚。まるで社会の底から、人々の暮らしを見上げているようでした。

「底なし沼」に嵌り続ける絶望

多重債務者向けのカウンセリングや、法テラスを利用した無料相談なども検討しましたが、書類が多く、ややこしい手続きに耐える気力がもう残っていない。自己破産などの手段もあるとは聞くけれど、裁判所に通って手続きを進めるのは簡単ではありません。そもそも日々のバイトに追われている中で、そのための時間を確保する余裕すらないのです。

結局、どこに行っても借金の影が付きまとい、督促の電話の音が頭から離れない。夜もろくに眠れず、アルバイト先ではミスを連発し、ますます居場所がなくなる悪循環。自分の人生がどうなっていくのか、考えるだけで吐き気すら覚えます。先の見えない闇を歩いているようで、もはや精神的にも限界に近づいているのを感じています。

それでも、家賃やゲストハウスの宿泊費を稼ぐためには働かなければならない。ちょっとしたトラブルで仕事を失えば、その瞬間にすべての支払いが崩壊する危険を抱えながら、今日もバイト先に向かうしかありません。債務整理を本気でやろうにも周りに協力してくれる人もなく、相談に行く時間と気力も足りない。そうして僕は、底の見えない借金沼を漂い続けているのです。

誰もが「借金なんて自己責任だ」と言うかもしれません。しかし当事者になってみると、抜け出す糸口さえ見つからないまま日常が過ぎ去っていくことを痛感します。希望や将来への展望など見いだせず、今日も携帯の着信音に怯えるだけ。終わりのない多重債務の悪夢に、僕は今も沈み続けています。

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